2017年03月11日

ミスト

監督⇒ フランク・ダラボン

製作⇒ フランク・ダラボン、リズ・グロッツァー

製作総指揮⇒ リチャード・サパースタイン、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン

脚本⇒ フランク・ダラボン

原作⇒ スティーヴン・キング『霧』

音楽⇒ マーク・アイシャム

出演者⇒ トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、ウィリアム・サドラー

公開⇒ 2007年

アメリカ映画


今回の私の特選映画は『ミスト』です。

ミストとは霧のことですが、同じく霧を扱ったホラー映画としては、

ジョン・カーペンター監督の『ザ・フォッグ』がありました。



『ザ・フォッグ』では霧の中から100年前に殺された亡霊たちが現われて、

犯人の子孫たちに復讐してゆくという内容でしたが、

本作品はホラー小説の帝王と称されるスティーヴン・キングの原作が基になっていて、

ある田舎町が激しい嵐に見舞われたあと霧に覆われ始め、

その霧の中から異次元の怪物たちが現われて住民たちに襲いかかってくるという内容になっています。



異次元の怪物たちが出てくるという映画にはコメディタッチのものもよく見かけますが、

この映画にはコメディの要素が全然なく、

極限の恐怖を描いたすごくシリアスな内容になっています。



なぜ霧が現われてそこから怪物たちが現われてくるのかという説明は、

映画の中では、軍が異次元を観察する「アローヘッド計画」なるものを実験しているという噂話でほのめかす程度で、

はっきりとは明かされません。



そういう全く原因が分からないままに怪物から襲撃され追い詰められてゆく住民たちの緊迫した状況と

秩序を失い混乱してゆく様を延々と続けてゆくのがこの映画なんです。



それにしてもこの映画、キャッチコピーが「映画史上かつてない、震撼のラスト15分!」と銘打たれてますが、

これは大げさではなく、確かに衝撃的な結末です。

救いようがないというか、観終わった後、やるせない気分になってしまいました。


 
ハリウッド映画ではどんな怪物が襲いかかってきても必ずと言っていいほど、

スーパーヒーローが現われて怪物を撃退し最後はハッピーエンドで終わるという、

観終わった後スカッとするような映画が多いんですが、本作品は違ってました。

本当に救いようがない後味の悪い終わり方になってます。



『ダイハード2』で強靱な肉体と凶器のような技を持つ凶悪なテロリストを演じていたウィリアム・サドラーも、

本作品では平凡な中年オヤジでしかありませんでした。



私は原作は読んでないんですが、本作品の結末は原作とは違うそうで、

原作よりも最悪の結末になっているそうなんです。

実際、ラストは衝撃を受けました。



しかし、やるせない気分になったといってもこの映画がつまらなかったというわけではありません。

この作品自体はよく出来ていますし、構成もストーリー展開も上質な作品だと言えます。

何よりも、観ていて恐怖に追い詰められるような気分になりすごいサスペンスとスリル感を味わいました。

怪物の造形もよくできてましたし、俳優の迫真の演技もすごい迫力があり、

それらが相まって現実にはあり得ないような状況なのに真に迫ったリアリティがありました。



B級C級のホラー映画やSF映画の中には、俳優がせっかく迫真の演技をしていても、

低予算の怪物の造形がチャチ過ぎてリアリティがなく、

却ってその落差によって滑稽さしか感じられないものも多いんですが、

本作品に出てくる怪物たちのクオリティは高く、

怪物の中の巨大クモは顔がマンがチックなのにも関わらず実在感があり、

俳優の迫真の演技との落差もなくすごいリアリティがありました。

なので、作品自体は高く評価できます。

それにしてもこの映画は本当に「映画史上かつてない、震撼のラスト15分!」でした。


評価 ★★★★★






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ラベル:ホラー SF 洋画
posted by エイタロー at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | SFホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月03日

コンスタンティン

監督⇒ フランシス・ローレンス

製作⇒ ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、アキヴァ・ゴールズマン、ベンジャミン・メルニカー、ローレン・シュラー・ドナー、アーウィン・ストッフ、マイケル・E・ウスラン

製作総指揮⇒ ギルバート・アドラー、マイケル・アギーラ

脚本⇒ ケヴィン・ブロドビン、フランク・A・カペロ

原案⇒ ケヴィン・ブロドビン

原作⇒ ジェイミー・デラノ、ガース・エニス

音楽⇒ クラウス・バデルト、ブライアン・タイラー

出演者⇒ キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、シャイア・ラブーフ、ティルダ・スウィントン、ピーター・ストーメア、ジャイモン・ハンスゥ

公開⇒ 2005年

アメリカ映画


ご無沙汰しておりましたが、久々に映画の感想を書いてみたいと思います。

今回はキアヌ・リーブス主演のホラーアクション映画です。

私はこういうジャンルが大好きで、SFやファンタジーと共に最も映像としての面白さが表現される分野ではないかと思っています。



主演のキアヌ・リーブスがこの作品で演じているのはジョン・コンスタンティンという悪魔祓い師です。

このコンスタンティンなんですが、余命いくばくもない肺ガンのヘビースモーカーで、

かつて自殺未遂をしたことがあるため地獄行きが確定している身であり、

何とか地獄行きを回避するため、人間界に潜む悪魔たちを地獄に送り返しては天国行きのポイントを稼いでいるという設定になっていて、

この設定がなかなか面白いですね。



そしてこの主人公はヒーローではあるんですが、

自殺未遂をして地獄行きが確定しているとか末期の肺ガンなのにタバコをやめられないなどというところが、

完璧なヒーローではなく、弱さを持ったヒーローで、そこが何とも切なさを感じてしまいます。




この映画ではカトリック的世界観が描かれていて、

神や天使、悪魔、それに天国、地獄に、自殺者は地獄に堕ちるという考え方が基になっていて

かなり宗教臭さのあるのが特徴ですが(バンパイア映画などもそうですが)、

そういう宗教的なところが却ってファンタジーものやホラーものの世界観に面白さが与えられていると言えますね。



そしてコンスタンティンが悪魔と戦うときに使う聖なるショットガンとかメリケンサックとか「ドラゴンの息」という火炎放射器とか、

こういった小道具も面白さを盛り上げていました。



さらに終盤の物語の急展開が見ごたえ充分でしたね。

とにかくこの映画、『スピード』と同じくキアヌ・リーブスのはまり役でした。



続編も作ってもらいたいところです。

あと、すべてが解決した最後のところで、

コンスタンティンがタバコではなくガムを噛むところでは、

ヘビースモーカーが禁煙に成功したというオチで、

何だかホッとした気分になりましたし、

最後の最後、長いエンドロールの後でも救われた気分になる場面がありますね。




評価 ★★★★







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posted by エイタロー at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ホラーアクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする